鉄腕Bダッシュ! (最終話)

 全てが終わったと思いきや、不意にジョイトイが、
「茶ップリン、俺が自腹で買ったから持って帰るよ」
 と、言うや否や、自分のバッグに、『茶ップリン』を取り込もうとするではありませんかッ!
 余りの衝撃に、いったいどんなリアクションを取っていいか分からなくなる僕と、他の仲間達! 混乱する頭を、なんとか冷静に保ち、僕は彼の行動の矛盾を探します。


1、 確かに『茶ップリン』の会計は、彼が済ませたかもしれないが、その他の会計と通算して、土産代は西軍3名で割り勘しているので、特別に彼が所有権を主張できるものではない。


2、 なにより当初のルールで、購入された土産物は、勝利したチームが収めて山分けすることが決定しているので、敗軍に属していたジョイトイには、当然に所有権は主張できない。


 以上のことにより、ジョイトイが『茶ップリン』をテイクアウトできる権利は、微塵もないことを確信した僕は、堪らず一喝してしまいます。
「なにをやってんのじゃ、おのれはッ!」
 強引に彼のバッグから、『茶ップリン』を奪い返した僕は、東軍の3名に頭を下げます。
「どうも、すみませんでした」
 すると、あまりにもジョイトイを不憫に思ったのか、根は優しい3人から、こんな提案がされました。
「まぁ、『茶ップリン』は4個あるわけだから、1つはジョイトイさんにあげるよ。他にももし欲しい品があったら、西軍の3人や審判の2人も、少しずつもっていったらいいよ」
 おお、なんたる優しさ! 東軍の3人の優しさは、本当に5大陸に響き渡っておりますよ!
 このような経緯で、わずかな土産を持つことを許可された5人(西軍+審査員)でしたが、僕の手元に来たのは、まさかの『カレーラムネ』……。ジョイトイが『茶ップリン』で、俺が『カレーラムネ』……。1日運転して『カレーラムネ』……。
 後々に面白商品が見つからなかった場合の保険として買った『カレーラムネ』で、予想外の1勝を挙げたものの、勝負には敗北。しかも巡り巡って、『カレーラムネ』を持ち帰ることになった僕。
 まさに『カレーラムネ』こそ、今回の企画のキーアイテムだったと言えるのではないでしょうか。
 翌日、家で空けてみたものの、あまりの不味さに、普段滅多なことじゃ、食べ物を粗末にしない僕が、半分ほど水道に流したのは、また別の話です。
 それではみなさん、また次の企画でお会いしましょう。そう、あの、もう2度と体験したくないようなあの地獄絵図と化した長野の旅で……。 (鉄腕Bダッシュ 完)


鉄腕Bダッシュ! キャスト


ゲン(西軍・運転手)
キクチ(東軍・運転手)
NOV(東軍・軍師)
ジョイトイ(西軍・総大将)
ホリコ(東軍・総大将)
無双祭(西軍・軍師)
トシ(審査員)
クロ(審査員)


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
企画:ゲン