発狂! パワフル信濃旅! (第5話)

 蕎麦屋が見つからない!?
 不安に駆られながらも、商店街にやって来た僕らを待ち構えていたのは、無数のラーメン屋と居酒屋。残念ながら、蕎麦屋は1軒も見つかりません。
「おい、無双祭さん! こりゃいったいどういうことだい!? 信州そばが名物のはずの長野の地方都市で、蕎麦屋が1軒もないなんて! ラーメン屋はこらしょとあるのに」
「わからない。ともかくこのままじゃ濡れる一方だ。一旦、車に戻って、策を練り直そう」
 僕らはビショ濡れになりながら、駐車場へと戻りました。
 車に乗り込んだところで、時刻は既に2時。
当ブログで何回か書いたことがありますが、午後2時は、一般の個人経営の店(比較的美味い店が多い)が休憩時間に入るボーダーライン。この時間を越えると、個人経営の店が軒並み暖簾を仕舞ってしまうため、地方に来たにも関わらず、渋々ファミレスで腹を満たさなければならないといった事態に陥り兼ねない、旅の成否を分ける繊細な時間帯なのであります。
 しかも、浜松から長野に来たところにある飯田市で、午後2時って……。諏訪湖まで行って、52号に出て、家に戻ったら、いったい何時になるねん!
 昼飯的にも、旅の進度的にも、もはや臨界点だったことを踏まえて、僕はある決断をしました。
「無双祭さん。2時と時間も、けっこうな時間だ。こうなった以上は、進路である諏訪方面に向かいながら、その道端に蕎麦屋があったら、そこで昼食というのは、どうだろう?」
「そうだね。そうしよう」
 こうして僕らは、飯田市街から諏訪方面に向かって出発しました。
 信州なのに、駅前に蕎麦屋がない飯田市
 土砂降りになった飯田市
 飯田市の市民の皆様には大変申し訳ないのですが、もう頼まれたって、そうそう行きたくはないですよね。
 蕎麦屋がないことと、空腹にイライラしながら、僕らは改めて北上を開始したのです。 (つづく)