発狂! パワフル信濃旅2! (第4話)

 海津城址は、駐車場から農道を進んだ先にありました。これがまた牧歌的と言おうか何と言いましょうか、のんびりしたところだったのです。城の外堀には『農薬を捨てるな』なんて、看板が立てられている始末ですしね。
 その光景を目にした僕が思わず呟きます。
「なんかグダグダな感じだね。ここならさっき買った模造刀を鞘から取り出して、振り回していても、許されそうな気がするよ」
「ええ、最近の若い者は元気がいいぐらいのノリで済まされるでしょうね」
 無双祭さんが、そんなわけねぇだろ、と、突っ込まなかったのが、僕とNOVさんの会話が、当たらずも遠からずであったことを、暗に示していたのかもしれません。
 何はともあれ海津城の内部に侵入(入場)。キレイに整備されていたものの、どちらかと言えば史跡というよりも、市民の憩いの場といった具合で、歴史的な意義はないように思えました。まぁなんちゅーか、昔ここで武田軍が戦の準備をしたんだぐらいに、悦に浸るのが、この場の正しい楽しみ方だと思います。はい。
 城の回りを1周したものの、特に何もなかったので、僕らはそうそうに海津城を後にしました。時計に目をやると、まだ2時前といったところ。
 時計を見た僕が言いました。
「まだもう1箇所くらいなら行けそうですね。さすがにNOVさんが行きたがっていた黒部ダム富山県)は無理ですが(笑)」
僕がこう言ったのは、行きの車中で、NOVさんにどこか行きたい観光スポットはないかと訊ねたところ、黒部ダムと応えたことに端を発します。もちろん冗談だったわけですが。
「もう黒部の件は忘れて下さい。もし今度みんなで行く機会があったら、いいなぐらいのつもりで言ったので。それはともかくとして、長野まで来たからには、やはり善光寺に行くべきじゃないんですかね?」
「うむ、王道ですな。俺は良いと思うんだけど、無双祭さんはどう?」
「俺も賛成。せっかく長野市まで来たんだからね」
 と、無双祭さんも異存のない様子。
 こうして僕らは、海津城跡から善光寺を目指しました。
 しかし、道中はひどい渋滞。大した距離ではなかったはずなのに、長野駅の南口にあるコインパーキングに到着したとき、既に3時近くになっておりました。
「クソッ、長野のくせに(失礼)エライ混んでやがるな」
 悪態を付きながら、善光寺方面に向かうべく、長野駅構内を通過しようとしたとき、僕らは渋滞の意味を知ることになったのです。 (つづく)