発狂! パワフル信濃旅2! (第6話)

* あけましておめでとうございます。今年も週1ペースで細々と続けていきたいと思います ので、よろしくお願い致します。
  ではさっそく本編をどうぞ!


 そこそこの味ながらも、待たされた挙句に相席だったこともあり、蕎麦屋を出た僕らには疲労感しか残りませんでした。まぁ、それまでの歩き疲れも出たんだろうけどね。
 しかしながら、善光寺までの距離は、残りわずか。ブラリと立ち寄った長野で、7年に1度の御開帳が見られるのだから、これほどラッキーなことはないと、気力を振り絞って、歩き続けて山門を潜ったときのこと。善光寺の本堂まで続く長蛇の列が見えて来ました。
 嫌な予感がする僕ら。
そして予感は、寺の関係者と思われる人達が仕切りに叫ぶ言葉で、確信に変わりました。
「本日の御開帳は、午後5時までです! 今から並ばれる方は、ご覧になることができない可能性がございます!」
グギャッ!
 腕時計に目をやると、時刻は既に午後4時半。こりゃ、今から並んで御開帳されている仏様に辿り付くことができる可能性は、おそらく零でしょう。
 ああ、薄々気付いていたんだよ。気のみ気のまま来た長野で、たまたま善光寺の御開帳をやっているから、ちっと見て行こうみたいなノリで、見られる代物じゃないってことはね。
 僕は2人の友に問い掛けます。
「ああ、言ってるけど……どうする?」
「俺は別に見なくても良いですわ。最初から、そこまでして御開帳を見たかったわけでもないし」
「俺も。ここで並ぶくらいなら撤収で構わない」
僕もどちらかと言えば、2人の意見寄りだったので、ここは迷わず撤収を決めました。
「よし、撤収しよう。どうしても御開帳を見なかったことを後悔したら、7年後に再び各自で、この地を訪れるってことで」
 こうして僕らは、列に並んでわずか数秒後、踵を返したのでした。
 ちなみに駅まで同じ道を、とても歩いて帰る気になれなかった僕が、疲労も手伝ってか、「タク送しちゃいましょうよ。どうせワンメーターだから。みんなで割れば数百円だよ」
 と、無理矢理みんなをタクシーに引きずり込んだところ、駅南に出るには、かなりの遠回りが必要だったらしく、1人5百円を超える出費を強いらせてしまったことを、この場を借りてお詫びしたいと思います。
 君達に余計な出費をさせてしまったことを、本当にすまないと思う!
 ちなみに直前の文章は、ジャック・バウアー風に読んで下さいね。 (つづく)