美濃出兵(第4話)

 目を皿のようにして、土産物を物色する僕。
 ジョイトイ氏も無双祭氏も、それなりに土産物を見ていたと思いますが、1番真剣に物色していたのは、紛れもなく僕だったと思います。
 しかし、以前、甲府武田神社前にある『かぶと屋』さんで、信玄グッズを大人買いしていたときほど、僕の目に適った物はありませなんで、無難にTシャツ、湯のみ、菓子などを購入するに留まりました。
 なんかこうグッとくる物がないっていうか、無難なものしか置いてなかったんですよねー。武田信玄グッズでいえば、鉄製の軍配みたいなインパクトかつかっこいい商品が欲しかったところですな。
 ひと通り買い物を終えたところで、僕らはロープウェイ降り場を後にしました。
 ロープウェイ昇降場付近は、キレイな庭園になっていたので、柄にもなく男3人で景色を眺めて見ました。男同士は、洒落でもオススメできませんが(笑)、ここは良かったので近くまで行ってみたときには、一見の価値ありだと思います。
 さりとて、そう時間を潰せるスポットではなかったので、僕らは次の目的地を模索します。なんせ昼に近づくにつれ、ドンドン気温も上がっていたので、なるべく早く決めないと干からびてしまいそうです。
 睡眠不足も祟ってか、けっこうフラフラになっていた僕は、とりあえず涼しいところに行きたいとの思惑から、徒歩で行けるくらいの距離にあった博物館を提案したところ、無事に可決されたので行ってみることに。
 中はエアコンが効いていて涼しい……のは、当然のことながら、一般的な博物館とは一線を画し、戦国時代の街並みが等身大で再現されており、たいへん楽しめました。こんな良くできた博物館は見たことがなかったので、ヤケッパチで来たのも相まって、かなりお得な気になりました。
 そして何より、ジョイトイと無双祭さんが見物をしている間、僕は早めに見学を切り上げ、休憩所のソファでウトウトできたのが、何より良かったです。
 とは言っても、僕の姿が見えないことを不審に思ったジョイトイが、すぐに僕を探しに来てしまい、ソファの対面に座ってしまったので、ゆっくりできたのは、ものの数分でしたが……。
 もしかして、ジョイトイ先生は僕がいないと不安になってしまう悲しい持病をお持ちなのかもしれませんね。でもこのときばかりは、少し1人にさせてくれと、ちょっと思ったよ(苦笑)。
それでも、若干は体力の回復も図れたので、僕は展示物とソファに満足しながら、無双祭さんと合流したところで、博物館を出ました。 (つづく)