美濃出兵(最終話)

 モスバーガーで思い思いの物を飲み食いしながら、僕らは今後の動きについて相談します。
「どうも、このアーケード街じゃ、これ以上、見て回る余地はなさそうだね。あと岐阜で思いつくのは、鵜飼くらいかな。幸い夏のこの時期は、毎日開催しているみたいだし」
「けれど、鵜飼って夜の開催だろう。それまで時間を潰すのも大変だし、終わってから帰るとなると、たぶん静岡に戻るのは、日付が変わるくらいになるぞ。今朝は出発も早くて、体力的にも、そろそろきつい。そこまで粘って見る必要は、正直ないと思うぞ。見たければ、またいずれ機会もあるだろうし」
「そうだね。じゃあ、ここから大きな道を挟んで反対側にも、同じようなアーケード街があるから、そこを見たら帰ろうか」
 方針が決まったところで、僕らは店を出ます。
 アーケード街から大通りに出て、そこを横断し、先程までいたアーケード街とは、ちょうど反対側にあるアーケード街に入ったところで、僕らは大いに驚かされることになります。
 なにせ、そのアーケード街は、見渡す限り『お姉ちゃんのいる飲み屋』ばかりだったのですから。
 僕は思わず声をもらします。
「すげぇ、なんちゅー数だい。静岡とは比べ物にならねぇ」
 感想のとおり、静岡の両替町の比ではない程、その手の飲み屋が乱立していたのです。しかし惜しむべきは、まだ店が開店していなかったこと。まぁ車で来ている以上は、どのみち入れないので別に関係ないっちゃ関係ないんですがね……。
 結局、時間帯的には、まだ人もまばらなアーケード街を一回りして、僕らは駅方面へと再び歩き出したのでした。
後から調べたところ、僕らがたまたま立ち寄った場所は、『柳ヶ瀬』といい、岐阜の有名な風俗街だったようです。『柳ヶ瀬ブルース』の『柳ヶ瀬』ね。
 この旅の後、僕らがこのドリームタウンを再び目指したのか否かは、読者の皆さんのご想像にお任せしたいと思います(笑)。
 結局、昼の風俗街を徘徊した僕らは、午後4時くらいに岐阜を出発し、静岡へと向かいました。途中、猛烈な睡魔に襲われ、なんだかジョイトイと無双祭さんの声が遠くに聞こえるといったひどく危うい状況に陥り、もはやここまでかとも思いましたが、なんとか死地を脱し、夜の8時ぐらいに静岡へと戻ってきました。
 岐阜は、なかなかのポテンシャルを秘めている街だった気がするので、次に行くときは、もっとゆっくり睡眠を取った翌日に、体力に満ち満ちた状態で行ってみたいと思います。
 なんか普通の感想を書いてしまったところで、また次の企画でお会いしましょう。 (美濃出兵 完)


キャスト


ゲン
ジョイトイ
無双祭


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
テーマソング:『聖母たちのララバイ
制作統括:ゲン