小田原遠征(第4話)

 食事をした店から、西へ歩くこと、およそ5分。
 大そうな堀と石垣が見えて来ました。
 間違うことなく、小田原城です。
 戦国時代は、総構え(相変わらずのうろ覚え)といって、街全体が要塞になっており、僕が思うに日本一の堅固さを誇った天下の名城として知られていた小田原城。なんせあの上杉謙信を撤退させたぐらいですからね。
 さすがに現代では規模を縮小した模様でしたが、それでも堀には貸しボートが浮かべてあり、かなり広々としていたので、城自体も相当な規模であることが予想されました。
 堀に掛けられた朱色の橋を渡って、僕らは城内へ。
 とはいっても、すぐ城があるわけではなく、予想どおり、かなり広い敷地の奥に、本丸がある造りで、そこに至るまでは、歴史博物館みたいのやら、猿山(本物の猿がいます)、ガラス陶芸館、遊園地など、色々な施設がありました。
 なんといいましょうか、小田原駅周辺のあるべき観光施設を、この一ヶ所に集約したかのようでした。
 道中、甲冑をつけて、はしゃぐ外国人観光客を横目(たぶん甲冑を安価で貸し出す施設が近くにあった)に、
「今日も平和だのぅ」
 などとほざきつつ、僕らは、いよいよ城へと突入することに。
 見上げてみると、そんじゃそこらにある小ぶりな城と違い、天守閣まで5階はありそうな大層なデカさ。
 上り階段面倒臭ぇ……否、ダイエットには、ちょうどいい。
 覚悟を決めて、城内へ足を踏み入れると、中には北条氏を中心とした数々の展示品が陳列されておりました。
 1階、2階、3階、4階と、かなり大規模な博物館のようになっており、ゆっくりと見物しながら階段を上って行きます。
 そして天守閣に到着すると、そこには戦国グッズ土産物店と展望台がありました。
 まず展望台を1周。高所恐怖症の僕ですが、足場がしっかりしていたので、なんとか歩を進めることができました。周辺が全方向一望できて良かったです。箱根の山から相模湾まで、同じ場所で拝めるスポットなんて、そうそうないですからねー。
 目を楽しませたところで、今度は戦国グッズを買うべく、売店を物色するのですが、展望台とは裏腹に、こちらはイマイチな様子。
 なんか色々な大名のグッズを売りすぎですよね。武田信玄とか、上杉謙信とか、前田慶次とか、直江兼続とか。小田原なんだから、小田原らしく、北条氏を中心にグッズを売ればいいのに……と思った次第です。でも若干、マイナー武将の気がある北条氏じゃあ、あんま売れないのかなぁ。
 土産店の営業方針を考えながら、僕らは城を下りました。 (つづく)