デッドリードライブ 〜諏訪篇〜(第1話)

 2010年、4月頭。無双祭さんから、企画検討を兼ねた食事に誘われた僕は、某喫茶店にて話し合いを行っていました。
「珍しいですね、無双祭さんの方から企画を振ってくるなんて」
「6月になると、会社が繁忙期に入って、休みが取りづらくなるから、その前にやれる企画をやっておこうと思ってね」
「なるほどね。で、具体的には、どんな企画をやりたいんで?」
「52号線で諏訪まで行って、そこから飯田の方へ折り返して、浜松に抜け清水に戻るようなドライブかな」
「え、それって……」
 僕の脳裏に浮かんだのは、1年前のGWに文字通り、2人して死にかけたあのドライブのこと(以前のブログにも、様子を載せているんで、興味のある人は読み返してもらえると当社比1・5倍楽しめます。笑)。
 そんな僕の考えを見透かしたかのように、無双祭さんは笑いながら注釈を加えます。
「さすがに今回は青崩峠を越えようなんて思ってないから安心してよ。そこよりもう1本西の道なら、ある程度整備された道だから、悪路の心配はないさ。あのとき食べそびれた美味しい蕎麦を、今度こそ食べようじゃないか」
 美味しい蕎麦。その言葉に僕の魂が揺さぶられました。なんせ前回は、美味しい蕎麦ではなく、誤って『きし麺』屋に入った挙句に、蕎麦を頼んだら、惜しいそばが出てきたもんですから(苦笑)。……親父ギャグとか思わないように。たまたま書いていて思いついただけだから。
 僕は決断しました。
「よし、行こう、無双祭さん! 今度こそ美味しい蕎麦を食おうじゃないか!」
 このような経緯で、僕らは4月の中旬に旅に出ることを約束したのでした。
 しかし、このとき既に自身の体を、ある病魔が着々と蝕み始めていることを、僕は夢にも思っていませんでした。 (つづく)