デッドリードライブ 〜諏訪篇〜(第3話)

「む、む、む、む、無双祭さん!」
「いったいどうしたんだい、ゲン君?」
「実はかくかくしかじかで……歯の痛みが治まるまで、旅の日程を延期してもらえないでしょうか?」
「ああ、そういうことなら仕方ないね」
「申し訳ないっす。また経過を報告させてもらいますで」
 このような形で、旅行を保留してもらったのでした。
 その後、4月下旬に大病院で診察を受けたところ、GW明けの6日に抜歯を行うこととなり、それから痛みが引くまで1週間ぐらいは掛かるだろうことが判明しました。
 たぶん旅に出かけられるのは、5月の中旬以降か。しかしまぁ、歯が痛んでから、清々と行動できるようになるまで、1ヵ月とは結構なものだねー。
 そんなことを考えていた4月の末のこと。僕の体にある変化が起こったのです。月を見ていたら毛むくじゃらに変身した……わけではなく、親知らずの痛みがだいぶ薄れたのです。ちょうど歯茎を突き破り終えたとか、そんな感じだったのだと思います。
 そんな折、大病院から連絡があり、抜歯の予定を6日から10日にずらして欲しいとのこと。
 歯の痛みも薄れ、GW空けの週末も空いた(歯を抜いた後遺症を加味して、予定を空けておいたのだが、その必要がなくなった)ので、こいつは無双祭さんさえ予定が空いていれば、そこで旅に行けるんじゃねぇ?
 そう考えた僕は、無双祭さんに連絡を入れます。5月5日のことでした。
「実はかくかくしかじかで、体調も悪くはないので、無双祭さんの都合さえ良ければ、今度の土曜(5月8日)に、例の美味しい蕎麦を食べに行くツアーを開催しませんか?」
「うん、空いているからいいよ」
「じゃあ、今回は自分のせいで日程変更等、色々とご迷惑をおかけしたんで、俺が車を出しますよ」
「そうしてもらえると嬉しいよ」
「じゃあ、また当日に」
 こうして紆余曲折を得ながらも、なんとか企画は実施されることになったかに思われたのですが、このあと予想外の事態が発生します。
 こりゃ下手すると本編より、出発前の方が長くなりそうですが、さらに次回へと続きます。(つづく)