デッドリードライブ 〜天橋立篇〜(第3話)

 舞鶴市は、この日、高速を降りてから走った街で、1番発展していた街でした。見たこともないラーメン屋(発想が貧困ですね)やら、商店街、海軍学校などがあり、ちょっと他では見ない雰囲気を感じされる街で、なんかの機会でまた来る機会があったら、ゆっくりと見物したいと思いました。
 しかし、今日は行かねばならぬところがあるので、舞鶴は素通りして、僕らはさらに田舎道を北東へ向かいます。
 そして午前8時に出発してから、およそ7時間後の午後3時。僕らはいよいよ天橋立へとやって来たのでした。近場の駐車場に車を停めると、係員のおじさんが、僕らに言いました。
「ここ5時に閉めるから、心得といてね」
「はいはい」
 返事をしながら、僕は2つのことを考えました。
 まず1つ目は、高速を使わなかったら、おそらくここへの到着が、午後7時ぐらいになっていたこと。それすなわち、駐車場が閉鎖時刻に天橋立に到着できず(到着し侵入する形であれば、何とかなるかもしれないが、周囲の施設が閉店していると、本来でき得る観光ができず満足は得られない)企画自体が成立しなくなることを意味します。
 さすがに今日ばかりは、高速を使って正解だったぜ、無双祭さん!
 続いて2つ目に考えたことは、駐車場の係員のおじさんが、変なことを言うなぁということ。僕の認識では、日本三景の1つとはいえ、天橋立は眺めを楽しむ場所だから、さすがに2時間はかからねぇだろうと、違和感を覚えたのです。
 そんなことを考えながら、僕と無双祭さんは、天橋立へと向かいます。
 僕の予想では、天橋立とは、対岸と対岸とが細長い道で、陸続きになっているのを見下ろすと、そら美しい景色に見えるもの。つまり2、3分もうっとりと眺めれば、それで終わり……だと思っていたのです。
 しかし、陸に打ち上げられた魚を助けたりしつつも、土産物屋街、神社などを通り過ぎると、そこには日本海を割るように遥か彼方へと続く道が。
 ここで僕は自分の考えが誤っていたことに気付きました。天橋立は、見下ろすスポットなのではなく、自らの足で突き進むスポットだったのです(吐血)!
 次回から、凄絶なウォーキングが始まります。 (つづく)