デッドリードライブ 〜天橋立篇〜(最終話)

 無双祭さんが取り出したものは、僕にはひと目で何かわからないようなもの。僕は素直に質問します。
「こいつはいったいなんですか?」
「うちの会社で取り扱っている鍼灸師用の針さ」
「は、針って!?」
 驚いた僕でしたが、きっとそういう会社で働いているうちに、針のツボ押しなどのテクニックを身につけたに違いないなどと、勝手に解釈。
 しかし、その仮説も次の無双祭さんの一言で、脆くも崩壊。
「まぁプロが使わないと効果は怪しいものがあるから、気休め程度だけどね」
「へっ!?」
 呆気に取られる僕を傍らに、無双祭さんは鍼灸用の針を、ブスブスと次々と自らの体に突き刺していきます。
 そこまでしないと家に帰るまでの運転が難しい! それが日帰り天橋立だッ!
 まるで無双祭さんが、そう叫んでいるかのようでした。
 神様、助けて下さいッ! 助けて下さいッ! 助けて下さいッ!
 ……針で気合が入ったのか、その後は静岡県内の高速を快走した僕らは、午前4時、静岡ICへ到着しました。
 その後、国道を進み、僕のご用達のガソリンスタンドで給油。前日の夜のお誘いから、お金を下ろす暇がなかったので、ここでの給油代金+有り金全部(6千円程)で旅費を堪忍してもらいました。
 いやはや、運転をさせてばかりか、旅費でけっこうな優遇措置まで受けてしまって、本当に申し訳ない限りです。
 その後、すぐ近所にある僕の家まで連れて行ってもらって、今回の企画は終焉を迎えました。
 では今回の旅の総括を。
 かなり急な誘いだったので、正直なところ行くかどうか迷ったのですが、結果的にはいつか行きたいとは思っていた天橋立を観光できたので良かったです。思い切りって大事だと思いました。決断しなければ、何の変哲もない只の土日になっていたわけですから。
 ただ道中は、半端なく遠かったです。助手席ですら、そう感じたので、はたして運転していたら、どれだけ遠さを感じたのかと、ゾクゾクします。しかしながら、それぐらいのインパクトがないと、企画も盛り上がらなかったのかなと。最近の企画は、比較的に落ち着いたもの多かった(他のメンバーがキツイの嫌う)ので、また機会があれば、無双祭さんとアヴァンギャルドな旅に出たいと思います。
 それではみなさん、また次回の企画でお会いしましょう。 (デッドリードライブ 〜天橋立篇〜 完)


CAST


ゲン
無双祭


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
テーマソング:『聖母たちのララバイ
制作統括:ゲン