美食倶楽部グルメツアー(第5話)

 車に乗り込んだところで、僕はジョイトイに今後の動きを確認します。
「で、君の望んだとおり、沼津にカレーを食いに行くことになったわけだけど、夕飯まで時間を潰さにゃならない。どっか沼津周辺で遊べそうなところは、考えておいてくれたわけ?」
 僕の問いかけに、ジョイトイは渋い表情を見せました。
「うーん、ホントなら噛み付き猿のいる三島の楽寿園へ行ってみたかったんだけど、この天気だからなぁ」
 ジョイトイがそう言ったのは、この日が土砂降りの雨だからに他なりません。
「確かに、この天気の中、外を歩く気にはならねぇよな。あ、そういや、無双祭さん、伊豆って書いてたよね。もし自分のクジが引かれたときは、どこで遊んで時間を潰すつもりだったの」
「ああ、俺が行きたかったのは、中伊豆にある極楽苑ってところだよ。そんな大きな施設じゃないけど、死後の世界って言うのかな。天国とか地獄について、詳しく紹介している施設だよ」
「ふぅん。死後の世界ねぇ」
 僕は以前、友人達と出かけた東伊豆のアンディランドで、地獄巡りなる展示を見て(亀のテーマパークに、なぜか開催されていた)、けっこう楽しかった思い出があるので、それと似ているなら行ってみたい気がしました。
 僕の心が動きつつあるときに、さらに無双祭さんの口から、重大発表がされました。
「極楽苑には、秘宝館って言ってね。その、なんだ、つまりエロイ感じの展示物が集められた別館もあるんだよ」
 この一言が、僕を俄然、やる気にさせました。
「そいつは、面白そうだね。死後の世界も、秘宝館も面白そうだし、時間もありあまっていることだから、ここはひとつ極楽苑に行ってみようか?」
 無双祭さんはもちろんのこと、ジョイトイもホリコも賛成の意を表したので、僕らは晩飯にカレーを食うまでの空き時間を利用して、中伊豆の極楽苑に行くことになりました。
 12時前に、実文の駐車場を出発した僕らは、R1バイパスを西進。一定距離を進んだところで右折し、沼津港付近から414号線へ出て、伊豆の入り口に到着。
 その後、狩野川を越え、中伊豆を進み、僕らは極楽苑を目指します。
 なお、移動の最中、会話の7〜8割が、『てめぇ、カレーを食わせやがって』やら、『それならなんだ! お前はわざわざ滋賀から帰って来たホリコに、カレーを食えって言うのか!?』といった、カレーと書いたクジを入れた挙句に、それを引いてしまったジョイトイ・バッシングだったことは言うまでもありません。
 ナビに従い、414号線から土肥へと抜ける136号線に入って間もなく、無双祭さんオススメの極楽苑に到着しました。
 次回、いざ極楽苑へ! (つづく)