金沢奇行(第4話)

 僕が居眠り運転をしていたと吠えるジョイトイ
 しかし、普通に運転していた僕にしてみれば、昨晩からの己の不摂生を理由に眠った揚句に、突然奇声を上げられたばかりか、居眠り運転をしていたなどと言われるのは、心外そのもの。
 そこでここでは、僕が居眠り運転をしていないと立証できる状況証拠を集めてみましょう。
 第一に、おネムになった覚えがないし、意識はハッキリしていた。
 少し前まで普通に助手席の無双祭さんと喋っていた。
 蛇行運転などもしていないし、それを助手席の無双祭さんに咎められたこともない。
 以上、3つの理由より、僕は眠っておらず、ジョイトイが寝ぼけて叫んだことが証明されました。
 彼には罰として、僕のノルマのために、サイコロを振って出た目の数×1000万の生命保険に入ってもらうことにしたいと思います。
 それはさておき、話を本編に戻しましょう。
 賤ヶ岳サービスエリア以後は、ジョイトイの寝ぼけ事件こそあったものの、ドライブ自体は非常に快調で、休憩をとることもなく走り続けた結果、午後2時過ぎ。僕らは金沢西ICに到着しました。
 僕としては、知らない街を車で移動し続けるのはストレスが溜まるので、願わくば先にホテルにチェックインして、公共の交通機関で移動したかったのですが、ホテルへのチェックインは午後3時からとなっていたので、ここは直接兼六園に行くことにしました。
 ナビもさることながら、インターの出口から既に兼六園への標識が提示されていたこともあり、僕らは、あの『ユッケ事件』を起こした北陸を中心に展開している某焼肉店(さすがに営業していなかった)をよそ目に、迷うことなく兼六園へと向かいました。
 兼六園の傍らにある県営駐車場に車を停めた僕らは、徒歩にて兼六園へと移動。入場料300円を支払って中へと入りました。
 さすがに金沢といえば、ここと言わんばかりの観光スポットだけに兼六園はよく整備されていて綺麗な庭でした。僕が特に気に入ったのは、高台となっている兼六園から見下ろす金沢の街並みでした。
 よし、ここはいつものお決まりのネタを!
 そう思った矢先、ジョイトイが言いました。
「見なさい、シンジ君。あなたが守った街よ」
 あ! 俺がやろうとしていた俺のネタを先かつ雑にやりやがった!
 彼に対する殺意が芽生えたところで、次回に続きます。 (つづく)