デッドリードライブ 〜飯田篇〜(第4話)

 ジョイトイとの話を終え、僕は無双祭さんに再度電話を入れました。
「やぁ、ゲンさん。どうかした?」
「実は、かくかくしかじかでして……。車を出してもらって、土曜日に日帰り旅行をしてもらうわけには行きませんかね?」
「ああ、そういうことなら構わないよ。行こう」
 相変わらず、こっちの無茶振りに応じてくれる優しい無双祭さんでありました。
「痛み入ります。で、こういう経緯になったんで、当然ながら行く場所は無双祭さんの興味のあるところでいいんですけど、どっか行きたい場所はありますかいのぅ?」
「そうだねぇ……。ゲンさんと去年行った『天の橋立』に、改めて行ってみたい気もするし、飛騨の『白川郷』も見てみたいかな。あと近場だと飯田に『貧乏神神社』なるものがあるそうだから、そこにも興味があるね。今、思い浮かぶのは、この3つかなぁ」
「なるほど。天の橋立と白川郷と飯田の貧乏神神社ですね。了解です。じゃあ、ジョイトイと相談して、その3つの候補地の中から、どれかしら選ぶようにしますよ。決まったら、また連絡しますんで、しばしお待ちを」
 一旦、無双祭さんとの通話を取り止め、僕はジョイトイに再び着信を入れました。
「おい、ジョイトイ。無双祭さんから候補地の発表があったぞ。『天の橋立』か『白川郷』か飯田にある『貧乏神神社』だってさ。ちなみに俺は、『天の橋立』は去年行ったばかりだし、『白川郷』は距離があるなら、どうせなら皆で1泊が良いと思うんで、おもしろそうだから『貧乏神神社』が良いと思うだが、貴様はどれが良いと思う?」
 僕の問いかけに、ダークサイドに堕ちたジョイトイからは、まさかの回答がありました。
「どこも行きたくないなぁ。今回の企画はなしってことで、無双祭さんに言っといてよ」
 てめぇの血は、何色だァァァッ!?
 当初の企画を呆気なく反故にしたばかりか、そのために僕が何十分も間に入り電話して作り上げた折衷案まで、あっさりと否定するジョイトイ
 こいつは獣神サンダーライガーじゃなくても、怒りの炎が天を突き破るってなもんですよ!
 たぶん明智光秀本能寺の変を起こす直前は、こんな仕打ちをされたんじゃないかなぁなぞと物思いに耽りつつ、次回に続きます。 (つづく)