デッドリードライブ 〜飯田篇〜(第5話)

 ジョイトイのワガママっ子ぶりに、さすがに僕の堪忍袋の緒もブチ切れます。
「おめぇ、人が散々間に入って企画の調整をすりゃ、それを台無しにしやがって! 俺はもう決まったことに従うから、おめぇが無双祭さんと直接電話して、行き先を決めろよ!」
 そんな僕の怒り口調を、ジョイトイは意に介する様子もなく、またまた意味不明な理屈を述べ始めました。
「俺は無双祭さんと、これまで長電話をしたことがないから、長電話で色々と決めることはできねぇんだよ。とにかくおめぇの方から、上手く断っておいてくれよ。で、どうする? 今度の土日は桃鉄(ゲーム『桃太郎電鉄』のこと)でもするか?」
 もはやこれ以上、この男と交渉しても何の埒も明かぬ。すっかり嫌気が差した僕は、丁重に桃鉄の誘いを断った上で通話を打ち切りました。
 そして再び無双祭さんに電話を入れます。
「無双祭さん、実はかくかくしかじかでして、どうにも……」
「え、ホント!? いったい何を考えているんだ、ジョイトイさんは!?」
 あまりのジョイトイの奔放な振る舞いに、温厚な無双祭さんも、さすがに違和感を覚えた模様です。
「すっかり9連休で舞い上がったのか、悪魔が取り付いたのかは、わかりませんが、なんか、ホント、すみません」
「いやいや、ゲン君に謝られても困るんだけど、それにしてもねぇ」
「まったくで。まぁ深く考えこんでも、気分が悪くなるだけなんで、これ以上、ヤツの話をするのは止めましょう。あの悪行三昧、僕らが愚痴らずとも、そのうち天罰が下るでしょう」
「まぁね。ところで参加者は、僕ら2人になったけれど、さっき行った候補地の中で、どっか行ってみる気はある?」
 僕も月曜に休みを取り3連休となったので、土曜日は、どこか行きたいところ。そこで自分の思うところを述べました。
「さっきの3つの候補地なら、俺は貧乏神神社に興味がありますかねぇ。名前に引かれたんで」
「なら行ってみようか。せっかくその気になったんだから」
「了解です」
 話し合いの結果、当初の予定どおり、無双祭さんが車を出してくれることに。3人で車を出すときは、僕が運転、2人のときは無双祭さんが運転するのが、なんか定番になりつつありますな。
 こうして僕と無双祭さんは、2人で土曜に長野県は飯田市にあるという貧乏神神社を目指すことになったのです。 (つづく)