デッドリードライブ 〜飯田篇〜(第8話)

 大荒れの天気の中、無双祭さんの駆る車は、飯田市街へと向かいます。
 信州は山に挟まれた盆地であるため、落雷の音が反響して、もの凄い音がすることに静岡人である僕は、相当に驚かされました。各所に被害が考えられるので、雷を楽しみにするのは不謹慎かもしれませんが、大迫力なので物好きな方は、信州の落雷を体感するのもまた一興かと。
 とまぁ、道の駅を出た直後は、そんな天気だったわけですが、幸いなことに飯田市街に向かうにつれ、天気は回復。無双祭さんがあらかじめプリントアウトしてくれた地図と睨めっこしながら、僕は道をナビします。
 すると、道もそんなに入り組んでいなかったこともあり、午後2時過ぎに僕らは目的地である貧乏神神社へと到着しました。
 多くの日通のトラックが置かれている駐車場の片隅の道を登ると、そこには掘っ立て小屋が2つ。その片方の軒先には、『参拝者は1人につき100円を入れて下さい』なる看板と賽銭箱がありました。
 いきなり金を取るところから始めるとは、まさに悪の所業!
 憤慨するものの、まぁ駐車場につくや、いきなり1人につき1000円という法外な集金を行った群馬県のヘビセンター(あそこまでひどいと実名を出すのにも、何のためらいもない)に比べれば、カワイイものさと自らに言い聞かせているうちに、無双祭さんが車を降りて、お金を入れて来てくれました。運転手に気を遣わせてすまぬ。
 何はともあれ、無双祭さんが所定の場所に車を駐車したところで、僕らは車を降りました。
「さて、貧乏神神社とやらを堪能しましょうか、無双祭さん」
「そうだね。ところで肝心の神社は、どこなんだろう、ゲン君?」
 無双祭さんが僕に訊ねたのは、それらしい建物が、どこにもなかったからに他なりません。
 僕は辺りを見回しながら思うところを述べます。
「インターネットで、パワースポットとして大々的に紹介されている以上は、神社もおそらくそれなりの物件でありましょう。それらしい物が、ここから見えないところを見ると、ちょうど死角になっているでしょうな。ちょいと歩いてみましょうぜ」
 そう言って、車で入って来た入り口から反対方向に進んだものの、少し歩いたところで、すぐに行き止まりに。
 ここで僕らは、ある恐ろしい事実に気付いたのです。
「無双祭さん、ここで行き止まりってことは、もしかして……」
「さっきの掘っ立て小屋が、貧乏神神社なのかッ!?」
 僕らの足がガクガクと震え出したところで、次回に続きます。 (つづく)