デッドリードライブ 〜飯田篇〜(第13話)

 時間にして、およそ45分。JR線で3駅分下流に進んだところで、川下りの終着点である船着場に到着し、僕らは陸に降り立ちました。
 帰りは、天竜川と併走しているJR線にて、帰ってくるように指示を受けていたのですが、電車が来るまでは、およそ1時間弱ある模様。こんな何もない(誇大表示ではなく本当に何もない)ところで、どないして1時間も時間を潰せっちゅーんじゃい! 今回は客が4人なんで、マイクロバスとか用意したら赤字なのかもしれないけれど、そうした設備も整えればリピーターが増えると思うのになぁ。
 昼過ぎまでの悪天候のせいで、電車が遅れるハプニングもあり、僕らが車に戻ったのは、5時半ぐらいのこと。
「いやいや、帰りの電車こそ苦戦しましたが、なかなかどうして、川下りは楽しかったですね、無双祭さん」
「まぁね。さて、あとはひたすら静岡に向かって走るのみだ」
「いっちょ、よろしくお願いしますよ。浜松に7時ぐらいに着けばいいけれど」
「残念ながら、飯田からここまではそんなに距離がなかったから、往路で掛かった時間を考えると、浜松に着くのは8時過ぎぐらいじゃないかな。とにかく頑張って運転しやすよ」
「お願いしやす」
 そんなことを話しながら、無双祭さんの操る車は天竜峡を出発。
 なるべく日があるうちに距離を稼ぐべく、休みなしで来た道と同じ道を疾走した結果、無双祭さんの予想どおり、午後8時に浜松市に突入。
 以前の企画でも立ち寄ったことのある無双祭さんの学生時代の下宿先や、学校付近を経由しつつ、浜松市街に向かう最中で、無双祭さんが僕に言いました。
「晩飯、どうしやすか?」
 浜松からバイパスに乗ってしまうと、あまり飲食店もないのと、時間もいい時間だったことを鑑みて、僕は応えました。
「浜松で食べて行ってしまおう」
「どこか行きたい店がある?」
「いや、特には。もし無双祭さんが行きたい店があるのなら、そこでいいよ」
「なら、あっしに任せて下さい」
 僕は無双祭さんが愛して止まないあの店に行く気がしました。彼のブログでもよく行く様子がつづられていることが多いので。
 僕は訊ねました。
餃子の王将に行くんでしょ?」
「よくわかったね!」
 無双祭さんは浜松市街に車を向かわせました。 (つづく)