埼玉遠征(第4話)

 博物館には、当然ながら行田市の歴史等が紹介されているわけですが、主に河越野戦付近の戦国史と、地場産業である『足袋』の歴史が展示場の多くを占めていました。
 戦国バカの僕が、河越野戦の解説はかなり熟読し、他のところは流しての見学したことは言うまでもありません。
 およそ30分程で概ねの見学を終えた僕らが、外に出て駐車場の方に向かい歩いて行くと、なにやらテントが張られ、地場産品を販売している模様。これを覗かない手はありません。
 陳列されている商品の中で気になったものは、この地方の名物と思しき『ゼリーサンド』なるもの。もちろんパンにゼリーを挟んだものではなく、揚げたジャガイモが挟まっている風なサンドイッチに見えました。ここはせっかくなので食べてみても良かったのですが、賞味期限がこの日限りだったのと、この後、川越でランチを取る予定になっていたので、渋々断念。日持ちすれば買ったのに惜しい……。
 気を取り直して、他の物を物色すると、今度は小さいほら貝を発見。面白そうなので購入も考えたのですが、吹いて音を出すのが難しそうなのと、余計な物を家に増やすなと怒られそうなので、こちらも断念。
 結局、何も買わずにテントを離れる僕。なんだか小さくまとまりつつある自分にがっかりしながら、駐車場に向かおうとすると、遠くに甲冑を着た物好きを発見。
 あー、最近、戦国時代にゆかりのある土地でよく見かける、観光客向けのサービスか。ここでも、ご多分に漏れずやっているわけね。よぅやるよ。
 などと考えつつ、よくよく甲冑を着た人を見てみると、これが相当に美形な女子じゃありませんか!
 僕のテンションが急上昇したのは言うまでもありません。
「おお、無双祭さん! 見て下さい! あの甲冑の子、ギザ・カワユス(ちょっと古い)ですよ!」
「むー、どれどれ……あっ、ホントにカワイイ」
 女子であれば、わりかし誰でもカワイイと思う僕のみならず、女性に対するハードルが極めて高い無双祭さんが、カワイイと言ったことで、この甲冑女子がどれだけカワイイか、みなさんもよくお解かりでしょう。
 これは何かしらのアプローチを起こさねば……と思いつつも、弱気なジョイトイが必死に止めたこともあり、何事も起こすことなく、僕らは車に戻ったのでした。
何か盛り上がりに欠けて読者の皆様に申し訳ないと思いつつ、次回に続きます。 (つづく)