キクチに逢いたくて仕方ない(第3話)

 平成24年2月11日(土)。
 朝6時半に起床した僕は早々に準備を整えて、待ち合わせをしているNOVさんの家を目指して出発しました。
 7時半。待ち合わせの時間通りにNOVさんと合流した僕は、東名静岡ICを目指します。ちょっと前の高速道路一律1000円の時代であれば、最寄りの清水ICから高速にインするところですが、さすがに贅沢はできませんから。
 静岡ICを目指す道中、NOVさんから僕に質問がありました。
「今日はいったいどんな予定ですか?」
 共に旅に出る以上は、説明しておくのが筋ですので、僕がプランを告知したのは言うまでもありません。
「えー、まず昼飯時前にキクチと合流して、彼と名古屋飯的な物を食べます。どこで何を食べるかは、キクチに任せてあるので、僕にはわかりません。その後、彼の住んでいる豊田市の観光スポットを幾つか見学したいと思います。これもキクチに見て回る場所を一任してあるので、着いてからのお楽しみと言ったところですかね。で、まぁキリのいいところで帰路に着く感じですね」
 僕の言葉を聞いたNOVさんは、かなり不安な様子。
「……ゲンさん。それってあの伝説のスネーク・センター再びみたいなことになりませんか?」
 スネークセンター。その言葉を聞くたびに、僕とNOVさん、今回の旅に参加していないところでは、クロさんやジョイトイは、胸を抉られたかのような気持ちになります。
 今を遡ること、およそ6年前の平成18年の秋。群馬に移り住んだキクチに会うべく、群馬に向かったゲン、NOV、クロ、ジョイトイの4名でしたが、現地の観光スポットを案内する大役を仰せつかっていたキクチが、まさかのノープラン(しかも夜には別の仲間らと飲み会を入れてやがった)で企画に挑んだ結果、筆舌に耐え難いほどの酷い観光スポット見学を連発した際、締めで登場し、僕らの胸に深い傷を負わせたのが、空前絶後の酷さを誇る蛇のテーマパーク、スネーク・センターだったというわけです。
 詳細は書くと長くなるので、2006年10月から更新されている『キクチ・クエスト』を再読して頂ければと思うのですが、まぁNOVさんの言わんとしていることは、キクチに企画を丸投げしたら、あのときの二の舞になるんじゃないかと言うことです。
「いやはや、さすがにそれはないと思いますがねぇ」
 そういう僕の言葉もどこか頼りなげだったかもしれません。
 何はともあれ、僕らは静岡IC近くのコンビニで朝食を取ることにしました。
(つづく)