キクチに逢いたくて仕方ない(第4話)

* 先週はパソコン故障のため、更新ができずに申し訳ありませんでした。
  今週からはこれまでどおり、不測の事態が起こらない限り、週1で更新して行きたいと思います ので、よろしくお願いします。


 コンビニで朝食を買い、手早く済ませた僕とNOVさんは、高速道路に乗り込み、ひたすら西へ。
 いつも西へ出かけると、蒲郡であったり、岡崎であったり、必ずどこかが渋滞するので、それを見越して昼前に着くべく出発の時間を組んだつもりだったのですが、この日は観光オフシーズンだったためか、ひどい渋滞に巻き込まれることなく順調に進みました。冬の旅も、その点では悪くないなぁ。
 その結果、ナビに登録したキクチの住所地点に、なんと9時半に到着してしまったのです。清水から2時間で到着するとは、高速さえ混んでいなければ、気軽に行ける距離だったんですねぇ。
 車をどこに停めて良かったかわからないので、ナビの示すキクチの住所の近くにあった様々な施設が1つの敷地内に集められた施設の駐車場に、僕は車を停めました。ここなら万に一つも咎められることもないでしょう。
 車から出たところで、僕はNOVさんに言いました。
「キクチには、近くまで来たところで電話すると言ってあるのですが、ちょっと早く着いたことですし、このままヤツの家を探して、直接カチ込んでやった方が面白いですかねぇ?」
「そうですねぇ。こうなった以上は、1発かましてやる方がいいやもしれません」
 2人の意見が一致したので、僕とNOVさんは、キクチの住所が書かれたメモを片手に、先程ナビが示した辺りへと向かいます。
 ヤツの住まいはどこぞと、NOVさんとキョロキョロしていると、
「何かお探しですか?」
 と、見ず知らずの50才ぐらいのおじさんが話しかけてくれました。
 変な人には見えなかったので、
「○○(物件名)を探しているんですよ」
 と、僕が応えると、
「それはあちらですね」
 と、親切に教えてくれました。
 こんな奇特なぐらい親切な人って、ドラクエの世界にしかいないと思っていたんですが、ホントにいるもんなんですね。……いや、きっとモデルハウスの展示会か何かのスタッフで、客と間違えて声をかけてしまったが、そうでないとわかるや、知ったこっちゃねぇみたいな態度を決め込むと、会社の風評に関わると思い、結果的に会話を成立させたパターンのやつや!
 僕の下衆な勘繰りが正しいか否かは、神のみぞ知ると言ったところでしょう。
 いよいよキクチの住まいに目星が着いたところで、次回に続きます。 (つづく)