魁! 無双祭塾!(第13話)

 林泉寺は、さすがに謙信公に縁のある寺だけあって、庭もキレイに整えられていて見ごたえがありました。
 まず本堂に詣でたところで、僕らは謙信公をはじめとする歴代の春日山城主が眠る墓地へと墓参りに向かいました。しかし、いくら謙信公が眠っているとはいえ、墓は墓。あまり時間を潰せる場所ではなかったので、僕らは足早に本堂に併設されている宝物館へと向かいました。
 宝物館には様々な品が飾ってありましたが、なんと言いましょうか、僕の心に残る品はなかったので、これと言って何があったかは記憶しておりませんです、はい。
 ひと通り展示物を見たところで、僕らは宝物館を出て、さらには林泉寺を後にしました。
 ヤマグチ・ハル事件の他は、これと言って盛り上がらなかった林泉寺ですが、庭もキレイで本堂も立派なので、戦国ファンであれば1度は行く価値はあると思います。2度目は……ですが。
 車に戻った僕らは、次なる目的地に出発しました。林泉寺からこれまた程ないところにある博物館のような施設。けっこう立派な大きさです。
 7年前に来たときは、こんな施設はないと思ったのですが、おそらくその間に『風林火山』やら『天地人』といった謙信公にスポットを当てた大河ドラマが2本も放送されたことで、観光客向けに造られた施設でしょう。
 なんと入場料も無料とのことで、僕と無双祭さんは、気分良く館内へ。
 謙信公関連の展示物が多かったのですが、中には映像で楽しめるものやゲームもあり、かなり楽しめる造りとなっていました。
 その中でも僕らの胸を揺さぶったのは、上杉謙信公にまつわるクイズゲームのコーナーです。
 僕と無双祭さん。名だたる戦国オタク(?)が挑めば、さもなく終わるだろうと軽い気持ちで挑んだものの、これがなかなかの難易度。
 4択形式のクイズが7問続く(もちろんやるたびに問題は変わる)のですが、初級篇こそ5回ほどで全問正解したものの、上級篇には大苦戦。
 こんなの地元の歴史家ぐらいしかわからねぇだろと、思わず突っ込みたくなるような問題の連続です。
 しかし、僕らにも静岡の歴史オタクとしての意地があります。
「こうなったら全問正解するまで帰れまテンじゃぁぁぁい!」
 気合を入れて挑むこと、およそ二十数回! ついに僕らは上級篇を7問連続正解で達成したのでした。思わず無双祭さんとハイタッチを交わした次第です。
 こうして気分を良くし、他の展示品の見学も終え、出口に向かったところで、僕は因縁深い意外な人物を目にしたのでした。 (つづく)