魁! 無双祭塾!(第14話)

 館内の見学を終え出入り口に向かった僕の目に映ったのは、またもや武将隊の格好をした人。
 ヒィィィッッ! もう勘弁したって下さい!
 羞恥プレイが再び勃発したら、もはや自ら腹を掻っ捌くまで!
 悲壮な覚悟で通り過ぎようとしましたが、やはり上杉謙信Tシャツを着ている観光客オーラ全開の僕と無双祭さんを武将隊が見過ごすわけありません。
 やはり会話になるわけですが、よくよく見れば今度の人は、ただの足軽(のコスプレ)ですから、
「一緒にお写真を」
 てなことにはなりませんでした。良かった、良かった。
 無双祭さんと足軽さんが上越市の観光について熱心に話をしていたので、邪魔をしては悪いと、僕は1つだけ訊ねました。
「僕らの旅では、目的地の駅周辺をブラブラするのが恒例となっているのですが、この辺りで駅周りの見応えがあるのは、どこになりますかね? 僕の調べた限りでは、直江津か高田じゃないかと思うんですけど」
「おっしゃるとおりです。どちらも甲乙付け難いですよ」
「なるほど。しかしながら、両方とも行ければいいんですけど、時間的に、どっちか1つしか行けなさそうなんですよね」
「でしたら、今回は高田にしてみては如何ですか? あそこの駅前は、雁木造りと言って、大雪に備えた特殊な建築がされているのですが、それが日本一の長さを誇るので見応えがあると思いますよ。直江津も海に沈む夕日が最高なのですが、今日は曇っているので、あまりキレイに見えないかもしれないので」
 うん、言われたとおりにしよう。日本一と言われたら、見てみたくなるのが人情ってもんだし、男同士2人きりで夕日を見るのも如何なものだしな。
「じゃあ、高田に行ってみます」
「それが良いでしょう」
 その後、無双祭さんも含めて、上越に降る積雪量の話だとか、新たに新幹線が開通する話をした後、僕らは礼を述べて建物の外へ。
 立派な謙信公の像を発見したので、そこで数枚の写真を撮った後、次なる目的地である高田駅を目指しました。
 ナビを利用したものの、6年前のものなので、道が変わっており、住宅地に迷い込むなど、散々な目に遭いましたが、なんとか僕らは高田駅までやって来ました。
 しかしながら、適当な駐車場を見つけられずにいるうちに、車はみるみるうちに駅から離れていきます。
 大丈夫か、これ? (つづく)