西愛知奇行(第2話)

 豊川ICから一般道へと降りた僕ら。
 えっ、長篠に行くのなら、三ケ日ICで降りた方が早いんじゃない?
 そう思った方も多いでしょうが、これにはそれなりの理由が。
 確かに長篠は信長ファンにとっては聖地の1つと言えるでしょうが、主要街道や東海道線沿線から離れているため、けっこうな片田舎であることが予想されます。つまり過剰な期待を込めて行くと、けっこうな勢いで足元を掬われることが十分に考えられたのです。
 そこで僕は、誰でも楽しめる観光スポットを、今回のツアーで1箇所組み込もうと考えました。
そこで白羽の矢が立ったのが、『豊川稲荷』。長篠から程々に近い場所であり、名前をよく聞くので、それなりに賑やかな名所であると思ったのが決め手です。
 ですので、まずはそちらを訪れるべく、豊川へとやって来たというわけですな。
 豊川ICから豊川稲荷は、そんなに離れた場所ではなかったので、10分強で目的地近辺に到着。時刻は10時30分。
 大駐車場に車を停めて、いざ観光開始。
 駐車場から豊川稲荷までは、歩いて5分程の距離があるのですが、その沿道には、様々な商店が立ち並んでいて楽しく歩くことができました。凄く賑わっている風ではないので、ややもすると衰退しつつあるのかもしれませんが、良い雰囲気ではあるので、今後とも残って欲しい街並みだと思いました。
 さっそく買い物をしても良かったのでしょうが、まずはメインとなる豊川稲荷に参拝を済ませるのが筋でしょうから、僕らは一先ず商店街をスルーし境内へと足を踏み入れました。
 豊川稲荷は有名なだけあり、広い敷地の中に立派な建物が幾つもありました。どれも大したものでしたが、僕の心に響いたのは、建物ではないところだったりします(笑)。
 多くの建物を押さえて、1番印象に残ったのは、境内の奥にある『霊狐塚』。文字通り狐を供養した塚ですが、木々に覆われた昼でも薄暗い場所に、たくさんの狐の石碑が置かれているのは、圧巻の一言に尽きます。
「夢に出てきそう」
 とは、共にここを眺めた無双祭さんの感想ですが(このときジョイトイとは、はぐれていました)、見ようによっては不気味だと感じる人もいるでしょう。
 しかしながら、僕は幻想的と考え、豊川稲荷で1番のスポットとしてオススメしたいと思います。立派な建物は他所にもあるけど、ここまで立派な霊狐塚は他にはないと思いますからね。
 この辺りで、次回に続きます。 (つづく)