西愛知奇行(第3話)

 豊川稲荷を1周して来たところで、僕は異常な光景を目にしました。
 50代ぐらいのオバサン2人が、80代のお婆さん相手に、手をかざして何やらしています。
 耳を傾けてみると『気孔』云々などと吹いている模様。
 こっ、こっ、これは詐欺集団ではないかッ!
 気孔の類を一切合財信じていない僕は、真っ先に思いました(本当に気孔の存在を信じている人、すみません)。
 気孔などと言って老人に話しかけ、
「気運が悪くなっているから、うちの教祖様が念を込めた魔よけの壷をン万円で買いなさい」
 とか言って、老人から金を取ろうとしているパターンのやつや!
 白昼堂々、神社仏閣の前で、こんなことするとは、どうしようもねぇ連中だと思いながらも、止める術もない(=純粋に気孔の布教活動をしていると言われたら、どうにもならない)ので、気を悪くしながら僕は、仲間達と豊川稲荷境内前の商店街をぶらつくことに。
 時刻は11時30分。これから行く長篠に手頃な飯屋がある可能性が極めて低いため、ここで食事をしようとの意見で一致したので、食事系の店を中心に物色しながら、一通り歩いたところで、どの店にしようか相談していたときのことです。
 あろうことか、例の気孔オバサン2人が僕らに話しかけてきたのです。
「あのー、私達、気孔について勉強しているのですが、少しお時間ありませんか?」
 あるわけねぇだろ!
 こういった連中を見ると虫唾が走る僕が、危うく毒づきそうになるものの、「いえ、今は時間がないので結構です」
 と、何とか冷静に対応。たぶん目は殺し屋のような目になっていましたが、それは仕方のないことです。
「お忙しいところ失礼しました」
 立ち去るオバサン2人組に、声に出さずに、おとといきやがれとまたも心で毒づいたところで、再びどこで食事を摂るかの話し合いとなりますが、どの店も決め手に欠けたので、いつものようにジャンケンして1番勝った人が選んだ店に、ブツクサ文句を言わずに入ることに決定。
 じゃんけんの結果、勝利を収めたのはジョイトイ
 あー、嫌な予感がするぜ。
 僕が悪寒を感じたところで、次回に続きます。 (つづく)