西愛知奇行(第6話)

 伊良湖岬の散策コースを歩き出した僕ら。
 どういう繋がりがあるのか不明でしたが、ところどころに和歌の彫られた石がおいてありました。うん、なんとなく風流だね。
 途中から海にも和歌にも飽きた僕は、落ちていた木の枝を拾って、ジョイトイを(ケガしない程度に)突き刺したり、ひっつきむし(服に付くやつ)をむしりとり、ジョイトイに気づかれないように彼の背中部分に投げつけたりしていました。はい、小学生以下でございます。
 散策コースをひとまわりした僕らは、いよいよ駐車場近くの店舗で名物の大アサリを食べることに。たまたま声をかけられたので、お婆さんが焼いている店で注文。焼きあがったところで、いよいよ口に運びます。
 こっ、これはッ! 美味いッ!
 ここまで来た甲斐があったというもの。満足です。
 続いて、しょっぱいものを食べて喉が渇いたので、僕のみココナッツジュースを注文。
 これはッ! ……きっと僕の口に合わなかっただけで、本当は美味しいのでしょう(笑)。
 僕がココナッツジュースを飲み干したところで、他の店舗を見て回ることに。すると1番、駐車場の入り口付近のお店で、牡蠣を焼いているお店を発見。
 こいつもまた美味そうだ。
 そんな風に、牡蠣をガン見していると、店員のおばさんが、
「お兄さんたち、食べていって」
 と、声をかけてきました。
 大アサリだけでは、若干物足りなかった僕は1皿注文。牡蠣も好物だしね。
 すると、おばさんが、
「1皿じゃ、きっと足りないよ。3人前食べてよ」
 と、営業してきます。
 このババア、ふてぶてしいのぅ。
 僕のコメカミの血管が、ブチ切れそうになった音が聞こえたのでしょうか。
 珍しく、ジョイトイが、
「色々と食べ歩きたいから1皿でいいです」
 と、フォローしてくれました。
 地獄少年とは思えぬ気配り。この彼のムラッ気は、いったいなんなのでしょうか。まぁいいや。
 何はともあれ、僕らは牡蠣が焼きあがるのを待つことにしました。 (つづく)