怨足(第3話)

 大和文庫の前に達したところで、次なるチェックポイントを相談した結果、清水市立病院前を第2チェックポイントに指定しました。
 そしてジャンケンをして勝ち残ったのは……またしても僕!
「ギャァァァァッッ!」
 僕の断末魔の悲鳴が大和文庫に響いたどうかはわかりませんが、僕の腕に巻かれた重りは、そのままということになりました。
 神様、教えて下さいッ! いったいどこまで行ったら、出発時から背負うなり巻きつけられたりした重りを外すことができるのでしょうかッ!?
 もちろん神が応えるはずもないので、僕は仲間達とトボトボと歩き出しました。
 こうして家を出発してから、1時間を越えたところで、いよいよ僕の体に異変が。
 重りを付けられた腕……ではなく、お尻の筋肉に痛みが発生し始めたのです。
 最近、体を動かすのが億劫で、全く運動しないでいたので、早くも歩くのに必要な筋肉が悲鳴を上げたと言ったところでしょう。
「クソッ! ケツが痛ぇ! 市民病院でモルヒネでも打ってもらわないと、とても無理だ!」
「病院に入って、大きな声で言ってやって下さい! 『俺のケツにモルヒネを打て!』と!」
 そんなNOVさんの応援もあり、僕は痛むケツを引きずって、なんとか清水市民病院へと辿り着きました。
 第3チェックポイントを、『俺たちの歩いている県道が、国道150号線と合流するところの信号』(いよいよ海沿いの道に出るので、これと言った目印がなかったので、曖昧なものとなりました)と決め、僕らは3回目のジャンケンを行いました。
 ……みなさん、僕がまた負けて絶叫する絵が欲しかったと思いますが、この企画はヤラセなしのガチで行っております。僕は早々と負けてしまいました。ジャンケンに勝ったのは、ホリコ!
 駿府夢広場まで歩いて行くことは知っていたものの、ジャンケンで勝った男の手首に重りが巻かれることを、朝の時点で知らされたホリコが、第3チェックポイントから重りを付けさせられることになったのです!
 え、それは余りに酷い話なのではないかって?
 ……これには、どうしようもない事情があったのです。
 聞くも涙、語るも涙のゲンの言い訳は、次回でご披露したいと思います。 (つづく)