怨足(第7話)

 空き席を探すうちに、屋外に設置された喫煙所が、僕の目に入りました。隅にあるベンチが空いているのです。
 僕も含め、仲間達は健康優良児のため喫煙者がいないので、周囲でプカプカとタバコを吸われるのは、御免こうむりたいところですが、ここの喫煙所は四方にベンチがあるのみで、他のベンチとはかなり距離が空いているため、煙たくはなさそうです。
「たぶんここでフードコートが空くのを待っていても拉致が空かないから、この際、喫煙所のベンチを陣取りますか」
 こうして僕らは喫煙所のベンチを確保しました。座るところを確保できたとくれば、次に必要なのは食事です。
 無双祭さんとホリコが先に荷物の番をしてくれるというので(別に腕に付ける重りなら盗んでくれて構わない……というか、むしろ盗んで欲しい)、僕とNOVさんが先発隊として食料を買い込むことに。
 しかし、ここでまたもや不足の事態が発生。あまりの混雑に、おそらく冷凍物をチンするだけのホット・スナックでさえ、何十分も待たないと手にできない有様だったのです。
 3連休の中日で、混むのがわかってるんだから、何でもっと段取りよく仕事ができるように、あらかじめ準備しておかねぇんだッ!
 僕の心の叫びを聞く気があるのなら、駿府夢広場さんには、ぜひとも改善を促したいと思います。……つっても、日頃が閑散としていて、このときばかり人を雇うわけにもいかないんでしょうけど。
 結局、食料を買うことを諦めた僕とNOVさんは、男らしく自販機で500ml.の缶ビールを購入したのみで、ベンチに戻り、ホリコと無双祭さんに状況を報告。
 2人も僕らに習い、飲み物だけを購入して帰ってきました。4人揃ったところで乾杯!
 この日は2月にしては暖かったので、屋外の日差しの中で飲むビールは、最高に美味かったです。
 さらには、つまみは諦めていたものの、ホリコが京都土産の抹茶キット・カットを提供してくれた(普段、滋賀にいるホリコは、割かし簡単に京都に行けるそうな。羨ましい)ので、それで腹を満たすことができました。
 後半2区間も重りを巻かされたのに、俺達に食料をくれるなんて、あんた神さんやぁー!
 結局、1時間程かけて、僕らはゆっくり酒を飲んだのでした。
 そして午後1時過ぎ、いい加減、飽きてきた僕らは、喫煙所のベンチを立ち上がりました。 (つづく)