怨足(第8話)

 即席の飲み会を終えた僕らは、一旦、温泉施設の外に出ました。
 まずは帰りのバスの時間を確認しよう、ということになり、駿府夢広場専用のバス停に行ってみたところで、僕らは目を疑いました。
 静岡駅行きのバスこそ、結構な本数があるものの、清水駅行きのバスは、日に1本しかないのです。そして清水駅行きの駿府夢広場の発車時刻は、午後3時とのこと。
 清水駅行きのバスが既に終了していた事態を考えれば、まだマシですが、今から2時間も時間を潰せるのか、甚だ心配なところ。
「この際、静岡行きに乗って、駅周辺で昼飯を食って、電車で帰るって手もありますね。ここで無理やり飯を食うよりも、そっちの方が色々と食べられて良いやもしれません」
 NOVさんから素晴らしい提案を頂きましたが、僕は由々しき問題を抱えていました。
「すみません、俺、度がつくほどのジャージ姿です……」
 こんな汚らしい格好した僕と歩いてたら、周りのみんなまで変な目で見られちゃうYO!
 結局、静岡経由案は採用せず、僕らはあと2時間を、この駿府夢広場で潰すことにしました。これより我ら修羅となって参る!
 温泉以外の施設は無料で見て回れそうなので、まずはそこらを見て回ることに。
 すると、歩き始めてすぐのところで、イケメン達(出入りの劇団員?)達によるステージが行われていました。が、これは軽く無視。
 その理由は、
「いやらしい格好したくの一でも出てないと、ちょっと見る気にはなれないよね」
 という、これ以上ない程のわかりやすい理由に相違ありません。
 そしてさらに進んでいくと、何やらおどろおどろしいモニュメントが多数見かけられました。
 どうやらお化け屋敷がある模様。
 あまりに高額だったらアレですが、時間も余っていることだし、許容範囲だったら行ってみようとの結論に至り、進んでいくと、スタッフの姿も特になく、入場無料の模様。
 たぶん、この駿府夢広場は、何度となく潰れては会社を変えて再生を繰り返しているので、以前の経営会社が放置して去った物を、そのまま公開しているのでしょう。どうあれ、無料はいいことだ。
 気分を良くした僕らは、お化け屋敷に潜入します。 (つづく)