美食倶楽部最大トーナメント(第45話)

 読者のみなさん、大変お待たせしました。
 あの超人気企画(笑)、『美食倶楽部最大トーナメント』の続編を今回から書き進めていきたいと思います。
 ちなみに前回(第44話)の更新日は、2008年2月16日なので、気になる人はその付近から読み進めてもらえると話がつながると思います。
 では約8年ぶりに続きをどうぞ。


セミファイナル第2試合 ゲオルグVSエビフライ〉
 エビフライがリングに上がると、既にリングインしていたゲオルグが話しかけてきた。
「これはこれは、エビフライさん。どうかよろしくお願いしますよ! お互いクリーンファイトで後悔しない戦いにしましょう」
「ああ、こちらこそ」
 満面の笑みを浮かべるゲオルグを見ていると、戦意が薄らぎそうになる。だがこれは、お笑い界の未来を賭けた聖戦と思い起こし、気を引き締め直す。
 ジャンケンの結果、エビフライが先攻、ゲオルグが後攻と決まった。
 これならゲオルグの攻撃を受けなくて済む。勝機とみたエビフライは、牛乳を口に含んだゲオルグにさっそく仕掛ける。
「あれは俺がハイスクールに通うボーイだった頃の話さ。どうにも観たいテレビ番組があった俺は、猛スピードで自転車をこいでいた。元からチャリをこぐのは得意でさ。自信はあったんだが、あのときばかりは、いささか本気になりすぎちまった。その次の瞬間さ、チャリがバラバラになったんだよ。後ろで見ていた友人の話じゃ、ホントに何の変哲もなかったチャリが、いきなり空中でパーツごとに分離したそうだよ。後世の歴史家達は、これを言う。『エビフライ自転車空中分解事件』と……」
 事件の奇抜さと、エビフライの独特の言い回しで、場内からは笑いが起こったが、肝心の対戦相手であるゲオルグはクスリともしなかった。
 チッ、ツボじゃなかったか。
 そう思っているところに、口から牛乳を排出したゲオルグが詰め寄ってきた。
「ちょっとした事故だったみたいですけど、ケガはなかったんですか!?」
 こいつ、ネタの話で、本気で俺の体のことを心配してくれているのかッ!?
「まっ、まぁね」
 何だかペースを乱された気がしつつも、適当にすかして、エビフライはゲオルグの攻撃に備えて牛乳を口に含む。
 後攻の攻撃開始の声がかかると、ゲオルグが話し始める。
「いやぁ、僕なんて何のおもしろいこともできないのに、あれよあれよと言う間に、ここまで勝ち残ってしまったので、今回も何をしようか迷ったんですがねぇ。結局、1回戦でよく見てもらえなかったブログを、もう1度紹介しようと思うんですよ。あっ、指摘があったので、今回は睡眠を取る件のブログは削除してありますんで、安心して、どうぞ」
 そう言うと、スクリーンにゲオルグのブログが映し出された。 (つづく)