美食倶楽部最大トーナメント(第48話)

〈ファイナル ジョイトイVSゲオルグ
 リング上で対峙したジョイトイとゲオルグ
 緊迫する雰囲気の中、ジョイトイが口を開いた。
「ゲオルグさんと言ったか」
「ええ、そうです。初めまして。よろしくお願いします」
「こちらこそ。……戦いが始まったら、もう自由に話すことができない。少しだけ俺の話を聞いてくれないか」
「どうぞどうぞ」
「俺は正直言って、この大会の開催自体に乗り気じゃなかった。なんせうちらの倶楽部の会長ゲンが、てめぇが優勝する気満々で、自己顕示欲に駆られてプロデュースした大会だったからな」
「そうだったんですね」
「でもな、あんな男が会長とはいえ、俺は倶楽部の運営に創成期から会員として支えてきた自負がある。個人的には、こんな大会はクソ喰らえだが、美食倶楽部が開催した企画で、よそ者に優勝を攫われることは、倶楽部にとって大変な不名誉だ。その名声は地に落ちる。それだけは避けたい。避けなければならない。……何を言っているんだと思っているだろうが、要するに俺は美食倶楽部のために、この大会で優勝したいと思っているんだ。だから俺は君を全力で倒しにいく。そのつもりでいてくれ」
「もちろんですよ。どうして勝ち抜いてこられたのか、今でもあまり釈然としませんが、ここまで来たからには僕も優勝したいと思っているんです。お互い全力を出し切って戦いましょう」
 話が落ち着いたところで、先攻を決めるじゃんけんが行われた。その結果、ゲオルグが先攻となった。
 自身もさることながら、このゲオルグという男、初戦から全て一撃で試合に勝利している。何とかヤツの攻撃を耐え凌いで、自分の攻撃に繋げられれば勝機も見えるか。
 ジョイトイは覚悟を決めて、牛乳を口に含んだ。
「それでは僕の方からネタを始めさせてもらいますね! どうしようかと色々と考えはしたのですが、ここはやはり1回戦からよく笑いの取れている僕のブログを紹介させてもらいますよ」
 ゲオルグが発言すると、モニターには彼のブログが映し出された。
 それは天然核弾頭と言われるジョイトイですら、震撼するほどの内容であった。 (つづく)