美食倶楽部歌下手王決定戦(第4話)

 カラオケに対して及び腰だったジョイトイが、推進派へと変貌した理由。
 これはもはや推測するしかないのですが、おそらくくっだらない理由でしょう。
 職場の飲み会の2次会で、カラオケに行ったジョイトイ君。歌うつもりはなかったが、とりあえず歌えと上司に言われ、渋々マイクを手にすることに。歌い終わったところ、周りにいた女性社員もしくはホステスから、
「歌がお上手なんですね」
 などと、お世辞を言われたのを、真に受けて、急転直下カラオケ推奨派に変わったとみる!
 以降、彼は自身の歌が上手いと思い込み、そのくせ、よりによって心底カラオケがクソ嫌いなこの俺様(筆者。笑)に、
「カラオケは上手い下手なんて関係ないから、気持ちよく歌えば良いんだよ」
 などと、のたまう始末!
 もはや奴のゲスな所業、見過ごすわけにはいかん!
 ヤツに自ら歌が下手であると気付かせ、2度と再び楽しくカラオケに行く気にさせないためには、どうするべきか!
 考えに考えた結果、僕はある1つの結論に至りました。
 超絶音痴でカラオケ嫌いの僕に、カラオケの得点で負けた暁には、プライドの高い彼のこと。カラオケが嫌いになり、金輪際カラオケに行こうなどとほざかなくなるはず……と。
 そう、導き出した結論とは、筆者がジョイトイとカラオケ対決を行い、彼に勝利を収めることで、彼から自信を喪失させ、2度とカラオケに行く気にならぬような心持ちにさせる、というもの。
 超絶音痴を公言する僕に負けた日には、いくら厚顔無恥ジョイトイと言えども、その高いプライドが邪魔をして、もはやマイクを握ることはできなくなると踏んだのです。
 未来永劫ジョイトイ・リサイタルを食い止めるべく、勇者ゲンは健気にも自らが忌み嫌うカラオケにて、彼に勝負を挑むことにしたのでした(自分で書いておいてなんですが、すごい自分サイドの書き方だな)。
 決心した僕は、ジョイトイに電話しました。
「おいコラッ、このクソガキがァッ! 俺とカラオケに行ったれや、ボケェッ!」
「……カラオケ嫌いなアンタが、いったいどういう風の吹き回しだ? まぁカラオケは嫌いじゃないから、付き合ってやってもいいけど」
 ようやく僕の心の闇パートが書き終わったので、次回からようやく企画へと移ります。(つづく)