美食倶楽部の怪談ナイト(第1話)

 夏といえば、楽しい娯楽が多い季節であります。
 その中でも筆者が密かに楽しみしているのが怪談や怪奇現象を取り扱ったテレビ番組。好き嫌いが分かれるジャンルかと思いますが、筆者は好きなのであります。
 しかし昨今、怪談や怪奇現象を取り扱った番組に変化が。以前は物々しい雰囲気の中で怪談を話したり、心霊写真の紹介をしたり、心霊スポットに行ってロケをしたりが主流だったのですが、最近は怖い映像が流れることが多くなった気がします。カメラを振った瞬間、いわゆる『貞子』的な女が映っていた……みたいな。
 そういうのも嫌いじゃないんですけど、最近の画像加工技術って凄いじゃないですか。だから何でもできる気がして、怖い映像ってあんまり好きじゃないんですよ。僕が好きなのは、あくまで一昔前のヤツなのです。
 そんな一昔前のオカルト好きな僕の耳に朗報が飛び込んできたのは、6月上旬のこと。『稲川淳二の怪談ナイト』なるイベントが近所で開催されるというのです。
 稲川淳二といえば、芸能界でも屈指の怪談芸人。期待できそうです。チケット代は5,400円とまぁまぁですが出せない程でもないので、せっかくなので行ってみようかなと思った次第です。
 しかしながら、ここで1つ問題が発生。そのイベントに1人で行く勇気が出ないのです。よく考えてみて下さい。35才のおっさんが1人で怪談イベントに来ていたら、みなさん、どう思いますか? 痛々しいと思うでしょ。
 かと言って、(稲川さんには失礼ですが)大衆ウケしそうにないこのイベントに行きたがる友人も少ないだろうなと思いつつ、脳内でリサーチしたところ、1人の男がヒットしました。
 この手の企画に来てくれそうな友人。ええ、そうです。みなさんが今、頭に思い浮かべているあの男で間違いありません。存在そのものがまさにホラー、ハルロー・オブ・ジョイトイ先生です。
 連絡を取ったところ、
「ああ、まぁ、そのぐらいの金額なら試しに行ってみてもいいよ」
 とのこと。
 ホントのところ、僕からのデートの誘いに、射精寸前の興奮を覚えているにも関わらず、彼がそっけない態度を取って喜びを隠していることは言うまでもありません(苦笑)。
 何はともあれ、僕は共にイベントに行く仲間を確保しました。(つづく)