美食倶楽部の怪談ナイト(第3話)

 平成28年7月30日(土)、午後4時前。待ち合わせの時間から逆算して自宅を出た僕は、徒歩で会場となる『清水テルサ』に向かいます。
 慣れないウォーキングかつ灼熱の日差しにやられ、すっかり汗だくになった僕は、汗を止めるべく最寄りのコンビニでボディペーパーを購入して、すぐさま利用。惨事を食い止めてから、待ち合わせ場所である会場入り口に向かうと、既にハルロー・オブ・ジョイトイが待機していました。さらにその先には、長蛇の列ができています。
「おぅ、ジョイトイ。今日は付き合ってもらってすまないな」
「構わんさ」
「ところでこの行列って、淳二のイベントの行列?」
「それはわからんが、時間も一致しているし、他に大きなイベントもなさそうだし、そうなんじゃないの?」
「ふーん。だとすると、結構な人気だねぇ。(再三のことで稲川さんには申し訳ないけど)ここまで人気のイベントとは思っていなかった」
 そんなことを言っているうちに、会場案内のスタッフの言葉から行列が、稲川淳二の怪談ナイトの怪場(誤変換ではなく、この字を使うのです)待ちと確信。僕らも列に並びます。
 間もなく怪場を迎えて、僕らはホール内へ。
 一先ず定番のグッズ販売のブースを見ることに。淳二マグカップ、淳二タオル、怪談CD等々色々なグッズが並んでおりました。せっかくだから、記念に何か買っておこうかとも思ったのですが、こういうところって当然と言えば当然なんですけど、割高じゃないですか。物は良いんでしょうけど。
 ここで調子に乗った場合、本日の支出が軽く1万円を超えそうな気がして敢え無くグッズ購入を断念。
 いつからだろう。『調子に乗ってこんなん買っちゃいました』的な笑いよりも、金を優先するようになったのは。
 少しだけ寂しい気持ちになりました。……なんだか怖い話というより、切ない話になっちゃったな。
 何はともあれ、ジョイトイも特に買うものはないと言うので、お互いにトイレを済ませた後に会場の席に向かいました。
 席に座って周囲を見回すと、ほとんど満席の状態。怪宴(これも誤変換ではありません)が近づくにつれ、入って来るお客もいるので、空席は全くといって良い程なかったと思います。
 凄ぇな、淳二の集客力。
 早めにチケット購入して良かったと安堵しながら、僕は怪宴を待ちます。 (つづく)