美食倶楽部の怪談ナイト(第6話)

『軽井沢の怪』 作:ゲン

 *今回は各自稲川さん風のアテレコをして読んで下さい。

 これは今から5〜6年程の前の話になりますかね。友人の結婚式に招かれて、軽井沢に行くことになったんです。
 式は午後からだったんですが、なにせ私の住んでいる静岡からは、行くのに5時間程かかりますからね。しかも連休中とあって渋滞も予想されましたから、万一にも式に遅刻した日には目も当てられない、早く着く分には待てば良いわけだからということで、早朝に出発したんです。
 それが功を奏して、渋滞に巻き込まれることなく、軽井沢に到着した私達は、若干の観光をした後に、式場であるホテルに向かいました。
 式は昼過ぎに始まり、披露宴が終わったのは、すっかり辺りが暗くなったぐらいでしたかねぇ。
 静岡から一緒に式に参加した友人は、私も含めて5人。そのうち2人は、その日のうちに帰宅するというので、私と2人の友人、JとHで現地に1泊することになっていましてね。宿泊予定のホテルへと向かったんです。
 このホテルなんですがね、観光シーズンである秋の軽井沢で、
「ほとんど寝るだけだから、できるだけお安いところで」
 なんて主旨で予約したものですから、それなりのところだと覚悟はしていたんです。だから仕方ないといえば、それまでなんですが、なんだか建物全体に重苦しい空気が漂っている気がしたんですよ。
 部屋までの廊下も何だか天井が低くて、薄暗くてね。
 なんだか嫌だなぁ。
 正直、そんな気分でしたよ。
 部屋についても、なんだか殺風景な部屋に、ベッドをはじめとした必要最低限な家具が揃えてあるだけでしてね。
「幽霊でも出そうな部屋だねぇ」
 なんて冗談交じりに言っていたんですよ。 (つづく)